マレーシアに住んでいても、日本の確定申告は必要なの?
この疑問を持つ在住者・駐在員は非常に多いです。結論から言うと、状況によっては申告が必要で、放置すると追徴課税のリスクがあります。
この記事では、マレーシア在住の会社員・駐在員が知っておくべき確定申告の義務・手順・二重課税の回避方法をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- マレーシア在住でも日本の確定申告が必要なケース
- 非居住者として申告する方法(e-Tax対応)
- 日本・マレーシアの二重課税を防ぐ仕組み
- 申告期限と注意点
まず確認:あなたは「居住者」?「非居住者」?
日本の税法では、1年間のうち日本に住所がある、または1年以上日本に居所がある人を「居住者」、それ以外を**「非居住者」**と定義しています。
マレーシアに長期滞在・移住している場合は、多くのケースで非居住者に該当します。
居住者・非居住者の判定ポイント
| 状況 | 判定 |
|---|---|
| マレーシアに1年以上在住(生活の拠点がマレーシア) | 非居住者 |
| 駐在員で日本に家族・住所あり | ケースによる(要確認) |
| 短期出張・旅行で滞在 | 居住者のまま |
判定に迷う場合は税務署または税理士に相談することをおすすめします。
非居住者でも確定申告が必要なケース
非居住者であっても、日本国内に所得がある場合は申告義務が生じます。
申告が必要な主なケース
① 日本の不動産から賃料収入がある マレーシア滞在中も日本の自宅や投資用不動産を賃貸している場合、その賃料収入は日本で課税されます。
② 日本の証券口座で運用益・配当がある 特定口座(源泉徴収あり)であれば申告不要ですが、一般口座の場合や損益通算したい場合は申告が必要です。
③ アフィリエイト・副業収入がある ブログ・アフィリエイト・フリーランス収入など、日本国内の企業からの報酬は課税対象になる場合があります。
④ 退職金・年金を受け取っている 日本の会社から退職金や年金を受け取っている場合も申告対象になることがあります。
⑤ 日本で給与所得があった年(帰国・転職の年) その年の途中まで日本に住んでいた場合、居住者期間分の所得は申告が必要です。
申告が不要なケース
以下に該当する場合は、原則として日本の確定申告は不要です。
- 日本国内に所得がまったくない
- 特定口座(源泉徴収あり)のみで運用しており、損益通算も不要
- 会社が年末調整を行っており、他に所得がない駐在員
ただし、「不要かも」と自己判断するのは危険です。不明な場合は税務署または税理士に確認しましょう。
申告方法:非居住者がe-Taxで申告する手順
非居住者でも**e-Tax(国税電子申告・納税システム)**を使ってオンラインで申告できます。
STEP 1:納税管理人を選任する
非居住者が日本で確定申告をする場合、「納税管理人」の選任が必要です。納税管理人とは、あなたの代わりに税務署とやり取りをする日本在住の人(家族・知人・税理士など)です。
「所得税の納税管理人の届出書」を管轄の税務署に提出します。
STEP 2:マイナンバーカードまたはID・パスワード方式で準備
e-Taxの利用には以下のいずれかが必要です。
- マイナンバーカード(ICカードリーダーまたはスマートフォン)
- ID・パスワード方式(事前に税務署で発行が必要)
海外在住の場合はマイナンバーカードを持っている方が手続きがスムーズです。
STEP 3:確定申告書を作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/)にアクセスし、案内に従って申告書を作成します。
非居住者の場合は「所得税及び復興特別所得税の確定申告書(B様式)」を使用します。
STEP 4:e-Taxで送信または郵送
作成した申告書をe-Taxで送信するか、印刷して管轄税務署に郵送します。
STEP 5:納税
申告後、日本の銀行口座またはクレジットカードで納税します。口座がない場合は納税管理人経由での対応になります。
申告期限
| 種別 | 期限 |
|---|---|
| 確定申告(所得税) | 毎年3月15日 |
| 延長申請 | 原則不可(災害等の特例あり) |
| 還付申告 | 翌年1月1日から5年間いつでも可能 |
2025年分の申告期限は2026年3月16日(月)です。(3月15日が日曜日のため)
日本・マレーシアの二重課税はどうなる?
「日本でも課税されて、マレーシアでも課税されたら二重課税になるのでは?」という疑問は当然です。
日本・マレーシア租税条約
日本とマレーシアは租税条約を締結しています。この条約により、同じ所得に対して両国で二重に課税されることを防ぐ仕組みがあります。
外国税額控除の活用
マレーシアで納めた税金は、日本の確定申告で**「外国税額控除」**として控除できます。
例えば、マレーシアで10万円の所得税を納めた場合、日本の所得税からその分を差し引くことができるため、実質的な二重課税を回避できます。
外国税額控除を受けるためには確定申告が必要です。申告を怠ると控除を受けられず、二重課税状態になってしまうので注意しましょう。
マレーシアの税制の特徴
マレーシアは源泉地主義を採用しており、マレーシア国内で得た所得のみが課税対象です(2022年以降、海外所得の一部課税が始まりましたが、給与所得は原則除外)。
駐在員の場合、雇用主がマレーシアの税務申告を代行してくれるケースが多いため、会社の担当者に確認しましょう。
駐在員が特に注意すべきポイント
給与の一部が日本払いの場合
日本の会社から一部給与を受け取っている場合、その部分は日本で課税される可能性があります。会社の経理・人事部門に確認してください。
住民税の扱い
出国した年の1月1日時点で日本に住民登録がなければ住民税は課税されません。ただし、出国前の1月1日時点で日本に住所がある場合は、その年度分の住民税が課税されます。
帰国した年の申告
マレーシアから帰国した年は、居住者・非居住者の期間が混在するため申告が複雑になります。帰国年は特に注意が必要です。
まとめ:マレーシア在住者の確定申告チェックリスト
- [ ] 自分が居住者・非居住者のどちらに該当するか確認した
- [ ] 日本国内に所得(不動産・証券・副業など)があるか確認した
- [ ] 納税管理人を選任した(非居住者の場合)
- [ ] e-TaxまたはID・パスワード方式の準備をした
- [ ] 申告期限(3月15日)を把握している
- [ ] マレーシアで納めた税金を外国税額控除で申請した
迷ったら専門家に相談を
確定申告は状況によって対応が大きく異なります。「自分は申告が必要か?」と少しでも迷う場合は、海外在住者の税務に詳しい税理士に相談することを強くおすすめします。
税理士費用はかかりますが、申告漏れによる追徴課税・ペナルティと比べれば安心料として十分元が取れます。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。具体的な申告については税理士または税務署にご相談ください。


コメント